サブリミナルあがり症改善プログラム【評価&効果】
今回は、松本悠助氏が販売する「サブリミナルあがり症改善プログラム」を実際に購入し、教材の中身やサービスを分析・検証してみました。
問題のある所もあったのですが、最終的にはA評価(購入価値あり)と判断しました。どこが悪くてどこが良かったのか、なぜA評価にしたのか。根拠と理由をハッキリ書いていますので、教材選びの判断基準としていただければ幸いです。
まずはサブリミナル効果自体の問題点からお話します。
サブリミナルあがり症改善プログラムの問題点とは?
- 公式サイトに事実と異なる印象を与えかねない文章がある
まず、サブリミナル効果をご存知ない方のために簡単に説明します。サブリミナル効果というのは、「意識されないレベルで提示された刺激の知覚によって生体に何らかの影響を及ぼす効果」のことです。ちょっとわかりづらいですね。
たとえば、1957年にアメリカの映画館で行なわれた実験が有名ですが、映画の一コマに、普通に観ていたら認識できないレベルで「ポップコーンを買え」「コーラを買え」というメッセージを忍ばせたところ、ポップコーンとコーラの売り上げが上がったという効果です。
公式サイトでは、この事例を根拠として、
「顕在意識では知覚できないメッセージが潜在意識に働きかけ無意識の行動が誘発されたといえます。」
と、結論づけています。
↓公式サイトの実際の文字キャプチャ画像はこちらです。
(「サブリミナルあがり症改善プログラム公式サイト」より引用)
しかし、この実験を行なったジェームズ・ビカリー氏本人が、後に「この実験のデータは確かなものではなかった」と告白しています。世間では、この告白に関してはあまり知られておらず、最初に語られた報告だけが一人歩きして、現在でも伝説のように語り継がれていますが、研究者の間では「ビカリー氏の実験は信頼に値しない」ことは、周知の事実として認識されているようです。
この告白については、「サブリミナル効果の科学―無意識の世界では何が起こっているか」という本に書かれています。
これ以外にも、教材の公式サイトには以下のような記述があります。
しかし、こんな話をすると洗脳されるのではないかと不安になります。
確かに自分の意図しないところで自分の行動がコントロールされたのではたまったものではありません。ですから、現在公共放送では厳しく禁止されています。サブリミナルメッセージは諸刃の剣、使い方で薬にも毒にも変わります。
↓公式サイトの実際の文字キャプチャ画像はこちらです。
(「サブリミナルあがり症改善プログラム公式サイト」より引用)
上の文章を読むと、「サブリミナル効果には、自分の意図しないところで行動をコントロールされてしまうほどの効果があるから、現在公共放送では厳しく禁止されている」という論調で書かれています。
「禁止されているのは、強い効果があるからだよ」という意味にとれますね。
しかし、公共放送で禁止されているのは、サブリミナルメッセージに強力な効果が認められているからではなく、倫理的な問題で禁止されているという見方が一般的なのです。
どういうことかと言いますと、効果うんぬんよりも「視聴者が感知できない映像で操作しようとするのは卑怯だ」という倫理性の問題を重視した上で禁止されているということです。
以上のように、公式サイトでは、サブリミナル効果をより強力だと思わせるために、都合良く解釈を捻じ曲げているのではないか?と疑問に感じる部分がいくつか見受けられました。
ただ、中立的な立場から申しますと、以上のような疑わしい部分はあるものの、「サブリミナルCDで得られる効果」については、公式サイトで誇張して書かれているわけではなく、以下のような妥当な表現が用いられています。
・緊張や不安がいつもよりないような気がする
・人前で話すことになっても憂うつな気持ちにならない
・緊張しても冷静でいられた
サブリミナルCDを聴くことで、このような「ささやかな心の余裕」が生まれ、小さな成功体験につながりやすくなる、というように書かれています。
そして、小さな成功体験を感じることができれば、自分に対してネガティブに考えてしまう思考のクセもポジティブに変化します。つまり、顕在意識からも潜在意識に対して良い記憶を入れることができるという、この教材の理論につながっていきます。これらの点は問題ないと考えております。
以上を踏まえた上で、「サブリミナルあがり症改善プログラム」について、詳細にレビューしていきたいと思います。
作者・松本悠助氏とは何者か?
松本悠助氏は、栃木県那須塩原市にあるメンタルラボ「タスカル」のメンタルトレーナーとして活動しています。
以前、会社員時代に上司から言われた「おまえの話はつまらない」という一言がトラウマになり、小さな会議で発言する時にさえ赤面してしまうようになります。その後、自分のあがり症はテクニック的な面よりもメンタル的な面に問題があることに気づき、人の心理や潜在意識について学び、あがり症を克服するまでに至ります。
現在は体系的なマニュアルの販売、面接によるカウンセリングや電話セッション等で、あがり症やうつ病・様々な恐怖症や人間関係の問題を改善しています。社団法人 日本産業カウンセラー協会会員。産業カウンセラー・心理カウンセラーの資格をお持ちです。
メリット
- 人前で言いたいことを最後までしっかり話せるようになる
- 以前に比べて緊張や不安を感じにくくなる
- 自分に対してポジティブな捉え方ができるようになる
おすすめしたい人
- 「自分は人前で話せる」と言い聞かせても、どうしても「できるわけがない」と考えてしまう人
- 完璧主義で何をやっても自分を認められない人
- 自分の考え方や物事の捉え方に問題があると感じている人
デメリット
- 公式サイトに誤解を与えかねない記述が見られる
- マニュアルに誤字脱字が非常に多く、読み進めるのにストレスを感じる
- 無料メールサポートの返信が遅い。回答内容の質にムラがある
おすすめできない人
- 迅速なサポート体制を求めている人
- 「売り物の商品なのに誤字脱字が多いなんて許せない」と怒りを覚える人
評価できる点
- 特典の「あがり症改善マニュアル」の内容が非常に素晴らしい
サブリミナルあがり症改善プログラムの理論について
あがり症の人によく起きる症状には、たとえば緊張や声の震え、赤面などがあります。これらの症状は、自分で意識して生じるわけではありません。人前に立ったりすることで、無意識のうちにこれらの困った症状が現れます。
これは、潜在意識にあるマイナスの記憶、たとえば「人前で失敗して恥ずかしい思いをした」などの記憶から、その当時に感じたマイナスの感情を呼び起こし、緊張や震えなどの症状として現れます。
緊張や震え、赤面などの症状は、意識して抑えようと思っても、抑えることができないどころか、抑えようとするとますますひどくなる傾向があります。なぜ、これらの症状を意識で抑えられないかと言うと、潜在意識の記憶が原因となっているからです。強力な潜在意識に対して通常の顕在意識では、まるっきり太刀打ちできないのです。
それでは、どうすれば良いかと言うと、あがり症の原因となっている「潜在意識の記憶」を書き換えれば良いということになります。そして、その潜在意識の記憶を書き換える方法として、「サブリミナルあがり症改善プログラム」という教材では、教材名のとおり「サブリミナル効果」を利用しています。
具体的には、サブリミナルメッセージを録音したCDを聴くことで、潜在意識を書き換えるという方法です。
CDに録音されているサブリミナルメッセージとは、通常の人の耳では感知できない、16,000~18,000Hzの非常に高い周波数で特殊加工された音声のことです。このサブリミナルメッセージが、直接潜在意識に到達し、今までのマイナスの記憶を書き換えることで、あがり症を改善していくという理論です。
潜在意識を書き換えるには、「繰り返す」ことが効果的と言われています。また、潜在意識には「感情を伴ったものが記憶されやすい」という性質があります。これら潜在意識の特長を利用して、リラックスした環境で繰り返しサブリミナルメッセージを聴くと、潜在意識が書き換わる確率が高くなると考えられます。
また、潜在意識には「現実と想像」や「善と悪」を判断することができないという性質もあります。つまり、入ってきたメッセージをそのまま現実にしようとしますので、あがり症改善に有効なメッセージを潜在意識に送り込むことが、そのままあがり症改善につながると考えられます。
しかし、サブリミナルCDで潜在意識が書き換えられた状態でも、人前で話し終わった後に、「あぁ、全然うまく話せなかった…。なんて私は情けないダメな人間なんだ…。」とマイナスに考えるクセがついていたら、せっかく潜在意識を書き換えても、また記憶がリセットされてしまいます。
そこで「ナビゲーションメール」や特典の「あがり症改善マニュアル」を使って、自分自身に対する「考え方や捉え方」をプラスに変化させ、今までのマイナスに陥りがちな「思考のクセ」を変えていきます。この方法は、顕在意識を通して間接的に潜在意識を変えることになります。
まとめますと、「サブリミナルCD」で直接潜在意識の記憶を書き換え、さらに「ナビゲーションメール」と「あがり症改善マニュアル」で、せっかく書き換えた潜在意識の記憶がリセットされないように、「考え方や捉え方」という顕在意識を変えることで、間接的に潜在意識がリセットされるのを防ぎます。
このように「潜在意識と顕在意識の両面からあがり症を改善していく」という方法が、「サブリミナルあがり症改善プログラム」の理論となります。
教材概要
●サブリミナルCD(3枚)
CD1:自信のメッセージ(50分09秒)
CD2:パブリックスピーキング(46分14秒)
CD3:癒しのメッセージ(40分20秒)
●取扱い説明書(10ページ)
●特典
あがり症改善マニュアル(全213ページ)
●サポート
・ナビゲーションメール(約1ヶ月間・全8回)
・無料メール相談(3ヶ月間・回数無制限)
教材を注文すると、住んでいる地域にもよりますが、2日後ぐらいにCDと取扱い説明書が配送されてきます。特典のあがり症改善マニュアルは、注文後送られてくるメールの手順に従ってダウンロードすることになります。つまり、マニュアルだけは、購入後すぐに読むことができます。
教材詳細
サブリミナルCD(3枚)
CD1「自信のメッセージ」で潜在意識に自信を植え付けることから始めます。自分を変えるには、まずは自信をつけて、心を変えていく準備を整えることが先決です。
CD2「パブリックスピーキング」では、人前で緊張せずに堂々と話すためのメッセージが収められています。人前で話すのに最適な状態を潜在意識に書き込んでいきます。
CD3「癒しのメッセージ」には、頑張っている自分に対する癒しのメッセージが収められています。ただ頑張るだけでは心が疲弊してしまいます。癒しのメッセージを潜在意識に刷り込むことで、安心感を感じながらあがり症改善の効果を促進していきます。
CDの中身は具体的にどう聞こえるのかというと、まず、BGMのような心地よい音楽が流れてきます。最初の2分間ほど、CDの中にサブリミナルメッセージとして録音されている言葉が、耳に聞こえるように流れます。2分ほど経過したら、メッセージはサブリミナルになり、私たちの耳には聞こえない周波数で流れ続けます。したがって、実際に2分経過以降耳に聞こえるのは、BGMとして流れている音楽のみとなります。
流れてくる音楽は、よく癒しの音楽などで流れているような、心が落ち着く歌詞のない曲です。3枚のCDはそれぞれ違う曲が入っています。
取扱い説明書(10ページ)
「サブリミナルあがり症改善プログラム」の取り組み方や注意点、実践に際してよくある質問Q&Aなどが書かれています。CDを聴く前に必ず読んでおいた方が良いでしょう。
ナビゲーションメールサポート(約1ヶ月間・全8回)
ナビゲーションサポートメールの第一回目は、購入後3日目に送られてきて、約1ヶ月で合計8通届きました。その後は「自信が付くメール」というメールマガジンに引き継がれるようです。「自信が付くメール」は、今後も不定期で届くものと思われます。どちらのメールも受け取りたくなければ、メール内に配信解除フォームへのリンクがついているので、いつでも解除できるようになっています。
無料メール相談(3ヶ月間・回数無制限)
あがり症改善に関する疑問・質問を、教材購入後3ヶ月の間、何度でも無料でメール相談することができます。
実際に、私も2回ほどメール相談してみました。
まず、1回目に質問した時に、返信があったのは6日後でした。この時の返信内容自体は、とても丁寧で内容も満足のいくものでした。
しかし、返信まで6日というのは、私の基準としては少々時間がかかり過ぎると感じます。
あくまでも私の個人的な基準ですが、無料メールサポートの返信は、遅くとも3日以内であるべきだと考えています。たとえ無料相談であろうとも、有料教材のサポートですので、遅くとも3日までが妥当だと考えています。
しかし、そうは言っても、たまたま何かどうにもならない事情で遅くなったということもありえます。そのため、返信に3日以上かかった場合には、もう一度相談メールを送り、どれぐらいの日数がかかるのかを、再度確認することにしています。今回メール相談を2回送ってみたのも、そのような理由からです。
さて、2回目の相談メールを送ったところ、この時の返信も1回目と同じく6日後でした。しかも、あいさつの文言などを除くと、この時の実質的な回答部分は、たったの一行でした。
もう少し具体的な内容が返ってくると期待していたのですが、残念な結果に終わりました。2回目のメールでは、対応に誠実さを感じられなかったというのが、率直な感想です。
ただ、1回目に質問した時はきちんとした回答でしたので、2回目の時は、たまたま忙しかっただけなのかもしれません。
どちらにしろ、無料メール相談の対応に関しては、返信が遅いということと、2通目は誠実さに欠ける返信内容でしたので、無料メールサポートの評価はイマイチでした。
特典:あがり症改善マニュアル(全213ページ)
教材特典として配布されるこのマニュアルは、以前、この冊子だけでメイン教材として販売されていたものです。
内容は、認知(行動)療法をあがり症に応用した改善方法で、「ネガティブな考え方のクセ」を修正することで、物事の「考え方や捉え方」をポジティブに変えて行くやり方が書かれています。
この方法は、顕在意識を経由して潜在意識を変えていく方法であるため、作者の松本さんはこの方法だけでは効果が弱いと考えているようです。
そこで、直接潜在意識を書き換える「サブリミナルCD」をメイン教材として、このマニュアル自体は特典というサブ的な扱いにして、販売を始めました。
ただ、個人的にはサブリミナルCDよりも、このマニュアルの方を非常に高く評価しています。
なぜなら、冒頭でお伝えしたように、サブリミナル効果は信頼できる改善報告例が少なく、効果があると判断するには科学的根拠がやや不明確だからです。
潜在意識を直接書き換えるのであれば「サブリミナル効果」ではなく、「ヒプノセラピー(催眠療法)」の方が、信頼できる臨床報告例の多さからもお勧めできると考えています。
ヒプノセラピーを用いたあがり症改善方法はこちら
>>あがり症改善プログラム:児島弘樹【評価&効果】
話が逸れたのでマニュアルの話に戻りますが、簡単に言いますと、サブリミナル効果の信頼性はあまり高くないが、このマニュアルに書かれている認知行動療法をベースにしたあがり症改善方法は、科学的根拠が高く信頼に値するということです。
マニュアルの文章は誤字脱字が多くて読みづらいのですが、内容は「これでもか!」というぐらい、徹底的な理詰めで完全に納得できるように書かれています。
ですので、理屈っぽい文章が苦手な人には向いていないかもしれません。
逆に、理屈を理解しないと先に進めないようなタイプの人には、このマニュアルは最適だと思います。
ちょっと伝わりづらいかもしれませんが、「そこまで論理的に説明されたら、そう考えざるを得ない」と納得することができ、「物事の捉え方を変えざるを得なくなる」という感覚でした。
私がこの教材「サブリミナルあがり症改善プログラム」をお勧めしているのは、単純にこのマニュアルが特典として付いているからであり、もしこのマニュアルがなかったら、A評価ではなくB評価にランクを下げていたと思います。
以下、マニュアル内容の詳細です。
はじめに
ここでは、あがり症の概要的な話が書いてあります。短期間であがり症を克服している人、治らない人はどんな特長があるのか。いくら場数を踏んでも治らない人の原因とは何か。あがり症が体と心に及ぼす4つの構造と、あがり症の悪影響の断ち切り方。最後に正しい克服方法について解説されています。この章を読むことで、あがり症を正しく治していく道筋が見えてくるでしょう。
第一章:あがり症克服のために必要なこと
あがり症の症状がなぜ現れるのかを、潜在意識と顕在意識の関係から、論理的に紐解いていきます。あがり症を克服する上で必要な、潜在意識の2つの法則や、あがり症を克服していく4つの過程、あがり症に対する向き合い方などが解説されています。
最後に、ある法則にしたがって、あがり症を克服するまでの期間を明確に示しています。あがり症は潜在意識から変えていく必要があり、潜在意識を変化させるためにはどのような過程を経ると良いのかが、よくわかるようになります。
第二章:あがり症克服法(基本編)
あがり症を克服する上で、土台となる重要なマインドセット(考え方、捉え方)を学びます。そもそもなぜあがり症を克服したいのか?という問いから、多くの人が陥っている過ちに気づかせてくれます。今までの常識を簡単に覆してくれる内容が、少なくとも5つは見つかるはずです。
イメージの力を利用した呼吸法を用いて、リラックスする方法も詳細に解説されています。この章を読めば、いかに今まであがり症を助長する考え方をしていたかがよくわかると思います。この章を読むだけでも、自分を苦しめていた考え方がガラリと変わることでしょう。
第三章:あがり症克服の技法
この章には、このマニュアルの中で最も肝となる、非常に重要な内容が書かれています。潜在意識の書き換え方が、これ以上ないぐらいに論理的に、そしてこれしかないというぐらいに、最も効果的かつ効率的な方法が解説されています。
具体的には、あがり症によって体や心に生じる反応を4つの島に分類し、その中で変えやすい2つの分野のみにフォーカスして、ある手順を経ながらその分野を変えていく、という方法です。
実際にはワークとして、自分で紙に書きながらの作業となりますが、例を示しながらわかりやすく解説されていますので、迷うことなく実践できます。自分で自分の内面を掘り下げていく作業ですので、慣れないうちは少し大変かもしれません。しかし、この作業を終えることで、今までの悪い思考のクセを確実に止めることができると思います。思考のクセを治すのと同様に、感情のコントロール法もワークを通して学んでいきます。
その他、体感覚やロールプレイを利用した感情のコントロール法や、「自分は人前でうまく話せない」などの間違った思い込みを書き換えるセルフイメージの変革法が解説されています。セルフイメージのワークを行なうことで、ありのままの自分を受け入れ、他人の目が気にならない確固たる自分を確立することができるようになるでしょう。
「あがりを克服するための集中法」では、意識をある一点に向けることで、不安や後悔などの負の感情を遠ざける方法を学びます。
最後に「リプログラミング法」で、あがり症の原因になっている失敗のトラウマなどの記憶を書き換えていく方法を学びます。
この第三章では、潜在意識を書き換える強力な心理療法が数多く解説されています。理論的に非常に腑に落ちる形で提示されていますので、深く納得した上で実践できると思います。
また、それらの心理療法を高いレベルであがり症に応用している点は非常に評価できると感じました。ワークを主体にした作業ですので、少々大変だと思いますが、すべてきちんと実践した後は自分自身の考え方や、物事の捉え方に大きな変化が生まれているはずです。
第四章:タイプ別あがり症克服法
あがり症の人が陥りやすい以下の3つの状況について、具体的な克服法が書かれています。
1. 赤面、声の震え
2. 緊張で頭が真っ白になり、話すことを忘れてしまう
3. 自信がなくて、声が小さくなってしまう
上記のような困った状態になった時、具体的に何をすれば良いのか、また、そうなる前にどんな準備をしておけば良いのか、どんなトレーニングをすれば良いのか、など考え方から実践的な方法まで解説されています。
それぞれの場面に合わせたピンポイントの対処法を持つことで、より安心して人前に出て話すことができるようになります。
第五章:上手な話し方とは
この章では、話し方の具体的な技術について解説されています。
【第1節 話題(ネタ)を見つける】
話題として選ぶのに相応しい5つの条件や、ネタを見つける5つの方法などを具体的に教えてくれます。聞き手の反応が特に良い話題は何か、その話題を見つけた時に、どのようにメモを取れば良いのか、3つのポイントを解説しています。
【第2節 原稿の作り方】
原稿を効率的に書いていく方法や、原稿を書く上で聞き手の目線に立った注意点などがわかります。事例として「結婚式のスピーチ」「セミナー講義」「プレゼンテーション」の3つを挙げ、それぞれどんな点を心がけて原稿を作っていけば良いのか、どんな構成が適しているのかなど、具体的に示してくれています。
また、書き上げた原稿のチェック方法や、原稿を清書する時の注意点5つなど、かなりかゆい所まで手の届いた解説となっています。最後に、誰でも使うことができる、あるツールを使った効率的な原稿の書き方についても解説されています。
【第3節 リハーサル】
本番に向けてのリハーサルでは何に気を付ければ良いのか、5つの視点から解説されています。具体的には、「人前に立った時の心構え」「話す速度と間の取り方」「普段との違和感の解消法」「他人の目になれる方法」「相手に良い印象を与える方法」などを細かく教えてくれます。
【第4節 本番当日】
本番当日、会場についた時に何をするのか、話し始めはどうすれば聞き手の気持ちを掴めるのか、話している最中に聞き手の注意を離さないためにすべきことは何なのか、アクシデント発生時の対応の仕方などが書かれています。
今まで人前で話す経験が少なかった人には思いつかない内容が多く含まれていますので、当日失敗する確率を確実に減らしてくれることでしょう。
第六章:あがり症克服
最後にまとめ的な内容が書かれています。
あがり症克服の目的は何なのか、その目的を達成するために何を目標とすればよいのか、目標達成のコツなども教えてくれます。
また、あがり症を克服するまでの過程を4つのステップに分けて、もう一度おさらいしてくれます。
これまでに学んだ強力な心理療法の数々と、その理解・定着を助けるワークの実践を通して、潜在意識からあがり症を克服していく道筋がはっきりと見えてくることでしょう。
きちんとマニュアルの内容を消化できてさえいれば、将来あがり症を克服している自分をありありとイメージできるはずです。
具体的に何をするのか?
サブリミナルCDの聴き方
推奨されている方法では、毎日寝る前に布団に入った状態で、サブリミナルCDを眠りにつくまで聴き続けます。
特に寝がけの数分間が、潜在意識にメッセージを入れるのに最適な時間です。寝る前以外には、リラックスしている状態であれば、いつ聴いても構いません。
CDを聴く順番は原則として1枚目から順に聴いていくのが良いでしょう。
一枚のCDを聴く期間は一週間。一週間たったら次のCDを聴くというように進んでいきます。3枚目を聴き終わったら、その後は好きなCDを繰り返して聴いてください。
あがり症改善マニュアルの進め方
サブリミナルCDを聴くのと同時進行でマニュアルを読み進め、ワークを実践しながら、考え方や捉え方をプラスに変化させていきます。これは、顕在意識面から潜在意識を書き換えていくことになります。
まずはマニュアルの見出しだけを最後まで読んでいき、全体の構成を把握しましょう。全体像を把握した後で、再び最初のページから、ワークの実践を交えつつ読み進めることをオススメします。一度全体像を把握するのが、内容を理解しやすくするコツです。
採点 【A評価:75点】
これまでお伝えしてきた通り、「公式サイトにおける問題点」、「無料メールサポートの対応速度や品質のムラ」、「マニュアルの誤字脱字の多さ」などが減点対象となっています。
それでもなお、お勧めしたいと感じるのには、2つの理由があります。1つは、これまでに挙げた問題点が、教材の内容自体には本質的に関係がないということです。
私の場合「誤字脱字の多さ」が特に気になり、これだけは「商品として許せない」とまで感じてしまいます。というのも、私は以前出版関係の会社に勤めていたことがあり、誤字脱字に関しては「絶対にあってはならない」として、徹底的にチェックするよう叩き込まれました。
ですので、誤字脱字が多いということは、「商品として世の中に流通させているという意識が低いのではないか?」と感じてしまうのです。これは、私の個人的な経験によるところが大きいので、普通の方はそこまで誤字脱字には厳しくないかもしれません。
そして、お勧めしたいもう1つの理由は、特典として付属している「あがり症改善マニュアル」の内容が、非常に優れているためです。
冒頭で「良い部分と悪い部分の評価がハッキリと分かれる」と書いたのは、こうした理由からです。マニュアルの内容がすごく良いだけに、非常にもったいないと感じる教材でした。
せめて、マニュアルの誤字脱字だけでもすぐに修正して、購入者に配布し直して欲しいところです。
総合評価
今回は、私の中で良い点と悪い点がハッキリ分かれてしまったため、評価をつけるのに非常に悩んだ教材でした。
私が教材を評価する時に必ず自問自答しているのが、「自分の家族にも勧められる教材か?」ということです。
この質問を自分にしてみて、「勧められない」という答えであれば、ブログでもお勧めはしないことにしています。
今回の教材は「自分の家族にも勧められる」という答えでした。
ただ、お勧めする以上、2つの条件を自分に課す必要がありました。
1つ目の条件は「マイナス面を全て提示する」です。
ここまでお伝えしてきたように、公式サイトにはサブリミナル効果について誤解を招きかねない表記がありますし、無料メールサポート対応における品質のムラ、マニュアルの誤字脱字の多さなど、マイナス面も結構あります。
ただ、それらのマイナス面を補っても余りあるのが、マニュアルの内容でした。
このブログを見てもらえればわかるように、私はこれまで数々のあがり症教材を購入して検証してきました。認知(行動)療法などの心理療法に関する本も多数読んできました。
その中でも、ここまで心理療法の数々を理論的に深く納得できるように、あがり症に応用している内容は見たことがありません。
2つ目の条件は「最初に選ぶあがり症教材としてはお勧めしない」です。
最初に購入するのであれば、総合的に優れている他の教材をお勧めします。その理由を以下に述べます。
まず、あがり症を治すには、「潜在意識の書き換え」が非常に大きなウェイトを占めています。
ここでは簡単に述べておくにとどめますが、「潜在意識の書き換え」には、直接書き換える方法と間接的に書き換える方法の2つに大きく分かれます。
「サブリミナルあがり症改善プログラム」の場合には、
- 「直接」潜在意識を書き換える方法 → サブリミナルCD
- 「間接的に」潜在意識を書き換える方法 → あがり症改善マニュアル
という構図になります。
潜在意識を書き換えるには、当然「直接」書き換えた方が効果は大きいのですが、残念なことにサブリミナルCDでは、今までお伝えしてきたように、その科学的根拠や効果については、いささか弱いと考えられます。
したがって、最初に選ぶ教材としては、潜在意識を「直接」書き換えることに対して、その科学的根拠や効果に信頼性を置けるものをおすすめするべきだと考えています。
潜在意識を「直接」書き換える教材として、具体的には児島弘樹氏の「あがり症改善プログラム」か、とよだクリニック(豊田早苗)監修の「あがり症改善プログラム」のいずれかをお勧めしています。(どちらもタイトルが同じ「あがり症改善プログラム」なのでご注意ください。)サポート体制や内容理解のしやすさまで含めると、児島氏の教材が一押しと言えます。
もちろん、どちらの教材も、潜在意識を「直接」書き換えるだけではなく、「間接的に」書き換える方法も多数紹介されていますが、「間接的に」書き換える方法については、「サブリミナルあがり症改善プログラム」に軍配が上がるということです。
しかし、あがり症改善に効果が高いのは、潜在意識を「直接」書き換える方法ですので、まず初めに取り掛かるものとしては「サブリミナルあがり症改善プログラム」はお勧めできないということになります。
まず最初は、児島氏か豊田氏どちらかの教材を実践された方が、より効率よく「あがり症改善」という目的を達成できると考えています。
ある程度改善が見られた後で、満足を感じればそこでやめても良いでしょう。ポジティブな考え方や捉え方をさらに強化していきたいと感じたなら、その時に初めて「サブリミナルあがり症改善プログラム」の実践をお勧めしたいと思います。
以上の点に納得されましたら、公式サイトへお進みください。
ちょっと今回のレビュー記事は、特に長くなってしまいました。
特典の「あがり症改善マニュアル」の内容が非常に優れているため、私の中でおすすめしたいという思い入れが強かったのですが、おすすめすべきでない点も多かったため、説明にかなりの時間がかかってしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あがり症の体験記事を書いています。
私の失敗体験を、あなたのあがり症改善に役立ててください。