社交不安障害に薬は効かない?病院での治療方法について
前回まで社交不安障害(SAD)の特徴や症状についてお伝えしてきました。
今回はSADの治療方法についてお話します。
まず、社交不安障害の治療法としては、「薬」と「心理療法」の2本立てで治していくことが多いようです。私が以前メンタルクリニックに行った時もそうでした。
ただ、私は薬に関しては今ではとても懐疑的です。それは、以前社交不安障害の薬物療法で、本当にひどい目にあったからです。この話はのちほどお伝えします。
まずは、「薬物療法」と「心理療法」についてご説明します。
薬物療法とは
社交不安障害の治療薬としては、一般的に「抗うつ薬」と「抗不安薬」が用いられます。
抗うつ薬(SSRI)
「抗うつ薬」というのは、ごく簡単に言いますと、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」という脳内ホルモンを増やす薬のことです。
セロトニンには、恐怖や不安を抑えて心を平静に保つ働きがあると言われています。
社交不安障害の人は、セロトニンの量が不足していると考えられているので、抗うつ薬を用いて脳内のセロトニン量を増やそうというわけです。
抗うつ薬は数ヶ月~数年単位で中長期的に飲み続けます。
飲み始めの1~3週間ぐらいは副作用が出やすいですが、飲み続けるうちにだんだんと副作用が軽くなり、効果が現れてくると言われています。
処方される抗うつ薬の例
- パロキセチン(商品名:パキシル)
- エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)
- セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)
- フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール) など
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
もう一方の抗不安薬は、文字通り不安感をやわらげる薬で、一回分の薬の効き目は6時間程度と短めです。
ですので、緊張しやすい場面の1時間ほど前に飲んでおくと効果的です。
しかし、長期的に服用すると集中力の低下やめまいなどの副作用が起こりますので注意が必要です。
抗不安薬には、気持ちを安定させる「GABA(ギャバ)」という脳内物質の働きを高める作用があります。
処方される抗不安薬の例
- ロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックス)
- エチゾラム(商品名:デパス)
- ブロマゼパム(商品名:レキソタン)
- アルプラゾラム(商品名:コンスタン、ソラナックス) など
他にも、身体の症状を抑える「β-ブロッカー」という薬もありますが、一般的には抗うつ薬と抗不安薬の組み合わせで処方されます。
処方されるβ-ブロッカーの例
- プロプラノロール(商品名:インデラル)
- アテノロール(商品名:テノーミン)
- カルテオロール(商品名:ミケラン)
認知行動療法を中心とした心理療法とは
治療のもう1本の柱としては、認知行動療法を中心とした各種心理療法があります。
同じことを経験しても、ある人はその物事をプラスに捉えるのに、ある人はマイナスに捉えてしまう、ということは日常的に目にすることと思います。
このマイナスに捉えてしまいがちな考え方のクセを修正していくのが「認知行動療法」です。
心理療法には、認知行動療法以外にも様々なものがあり、強いメンタルを養うのに効果的です。
社交不安障害に薬は効かない?
さて、冒頭部分で「以前薬物療法でひどい目にあった」と書きましたが、それについてお話したいと思います。
まず、私は昔からあがり症で悩んでいたので、メンタルクリニックを訪れたことがあります。(とにかく色々な方法を試しました)
しかし、最初の問診ではどういうわけか「躁うつ病」という診断がくだされました。
社交不安障害の人は、うつ病やパニック障害を併発しやすいという特徴があります。私も気分が不安定なところがあったので、躁うつ病という診断になったのかもしれません。
躁うつ病の薬として、ラミクタールが処方されました。これは、気分を安定させる薬です。
この薬は私の体に合っていなかったようで、37~38度の熱が何日も続き、体中に発疹ができました。
体中がかゆくなり、口内炎や食べ物を飲み込めないほどの喉の痛みなど、本当に大変な副作用に苦しめられました。
その後、薬を変えましたが、症状は一向に良くなる気配がありません。
診察を重ねていくうちに「社交不安障害ではないか」ということになり、社交不安障害用の治療が始まりました。
「それでは、抗うつ薬のセルトラリン(ジェイゾロフト)と、抗不安薬のクロチアゼパム (リーゼ)をお出ししておきます」
医師から薬を処方してもらい、少量から飲み始め、数週間ペースでゆっくりと増量していきます。
抗不安薬のリーゼは私に合っていたようで、飲むと不安感がやわらぎました。
しかし、抗うつ薬のジェイゾロフトは合っていなかったようで、むしろ不安感が日に日に増していきました。
抗うつ薬で不安感が増大し、抗不安薬で一時的に症状がおさまる、という日が続きました。
これは抗うつ薬の副作用なのか何なのか、当時はよくわからないまま1ヶ月以上が過ぎました。
医師に体調悪化について相談してみても、
「もう一ヶ月以上も飲み続けているので、薬の副作用ではないと思います」
と言われるだけでした。
しかし、ますます不安感は増していくばかりで、腹痛、吐き気、手のひらの発汗、めまいなどの症状が現れました。
体調は最悪で、食欲も全くなくなってしまいました。
ある土曜日、朝起きるとひどいめまいを感じました。
その日はトイレに起き上がるのがやっとで、あとは一日中ずっと横になっていました。
「こんなに不安が続くならいっそのこと死んでしまいたい」と思うほどの激しい不安感が襲ってきていました。
お恥ずかしい話ですが、あまりの不安感に耐えられず、横になっている間、ずっと妻に手を握ってもらっていました。
本当に、家で一人でいたらどうなっていたのか、考えるだけでも恐ろしいです。
もう、抗不安薬を飲んでも不安感がとれない状態にまでなっていました。
抗不安薬を飲むと眠くはなるので、それを飲んで無理やり眠り、なんとか時間が解決してくれるのを待っていました。
しかし、また目が覚めると強い不安感が襲ってくる、という繰り返しにどうにも耐えられなくなり、救急病院の夜間診療へ行きました。
診察を受けると、「抗うつ薬の副作用ではないか?」という話になり、その日から抗うつ薬の服用をやめました。
すると、2日ほどで不安感もやわらいでいき、体調も良くなってきました。
体調が良くなってからメンタルクリニックに行き、主治医に「もう抗うつ薬は飲みたくありません」と告げました。
医師に感じていた不信感もあり、その日以降メンタルクリニックに行くのはやめてしまいました。
以上が私の社交不安障害治療の体験談です。
私が一番言いたかったことは、「精神に作用する抗うつ薬などの薬は本当に恐ろしい」ということです。
薬を飲んで治る人もいるわけですから全面的に否定するつもりはありませんが、やはり精神に作用する薬というのは、カラダにとって不自然だと感じてしまいます。
ですので、抗うつ薬でセロトニンを増やすのではなく、生活習慣を変えることで自然にセロトニンを増やすことをおすすめします。
そのやり方については、次回の記事で詳しくお伝えします。
そして、やはりあがり症を治すには、心理療法を中心として潜在意識レベルからメンタルを改善していく方法が効果的だと考えています。
>>心理カウンセラー児島弘樹「あがり症改善プログラム」を使ってみた感想
あがり症の体験記事を書いています。
私の失敗体験を、あなたのあがり症改善に役立ててください。
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