社交不安障害(SAD)とは~特徴や見分け方など
実は私、以前あがり症を治そうと思い、メンタルクリニックに行ったことがあります。
診察を進めるうちに「あるセミナーに参加してみなさい」と医師に勧められました。それが「社交不安障害(SAD)」のセミナーでした。(メンタルクリニックに行った話は別の記事で詳しく書きます。)
現在では、あがり症は「性格」や「個性」などではなく、「社交不安障害(SAD)」と呼ばれるれっきとした病名がつけられているのです。
そして、「正しい治療を受ければ改善する」という認識に変わってきています。
そこで今回は社交不安障害の特徴や見分け方、2つのタイプなどについて概略をお伝えしていきます。
社交不安障害とは?
人前で話すなど、他人から注目される場面や、恥ずかしい思いをするかもしれない状況に対して強い不安を感じるのが、社交不安障害(SAD)です。
苦手な場面であまりにも強く不安や緊張を感じるため、日常生活に大きな支障をきたしてしまうのが特徴です。たとえば、会社に行くのが苦痛になったり、人と会うのが怖くて家に引きこもってしまうなどです。
社交不安障害の見分け方は?
社交不安障害を見分けるには、以下の3つのポイントに着目します。
1.人前で不安や緊張を感じるかどうか
朝礼での挨拶や、電話に出る時など、他人がいる前で何かをする時に症状が出るというのが1つ目のポイントです。
一人の時でも不安や緊張を感じてしまう場合には社交不安障害ではないので、別の病気を疑ってみる必要があります。
2.身体に何らかの反応が出るかどうか
2つ目のポイントは、不安を感じる場面で体に何らかの反応が出るかどうかです。
社交不安障害の場合、「声や手足が震える」「顔が赤くなる」「心臓がバクバクする」「おなかが痛くなる」などの身体的な症状が現れるのが特徴です。
3.緊張する場面を避けようとするかどうか
3つ目のポイントは、苦手な場面を回避しようとするかどうかです。
自分の発表があるときに、仮病を使って会社や学校を休んだり、せっかく昇進したのに自分には荷が重すぎると感じて辞退するなどが当てはまります。
また、実際に苦手な場面を避けていなかったとしても「できれば避けたい」と強く思うことも症状に当てはまります。
以上、3つの要件を満たすと、社交不安障害(SAD)と診断されます。
とは言っても、私の場合、医師の診断はけっこういい加減なものでした。
私が社交不安障害のセミナーで病気の特徴を知ってから、次の診察の時に
「セミナーを受けてみて、ご自分に当てはまることが多いと感じましたか?」
と医師に聞かれました。
私が「はい」と答えると、
「では社交不安障害で間違いないでしょう」
と、簡単に判断されてしまいました。
別の記事で詳しく述べますが、それまでにも躁うつ病と診断されたり、診断基準は本人まかせだし、ちょっといい加減だなぁと感じました。
もっと専門的な病院になると、不安の程度を調べる「LSAS」や「STAI」などといった心理検査が行われるようです。
そのように、客観的な基準をもとに判断されるのなら納得できます。
しかし、現実的にはまだ社交不安障害の治療に精通している医師が少ないため、問診による患者の主観的な意見によって診断されることが多いようです。
SADの2つのタイプ~「全般型」と「非全般型」
社交不安障害には「全般型」と「非全般型」の2つのタイプがあります。
全般型とは
全般型とは、人と接するような場面すべてを苦手とするタイプです。
「街なかを歩くのが怖い」などのように、自分が注目される可能性があるすべての場面で不安や緊張を感じるのがこのタイプです。
非全般型とは
特定の場面で不安を感じるのが「非全般型」のタイプです。
「会社の会議で極度に緊張して自分から発言できない」とか、「よく知らない人と会話するのが怖い」などのように、苦手な場面が限定されているのが特徴です。
非全般型の場合は、不安を感じる場面がハッキリしているので、事前にあがり止めなどの頓服薬を飲むなどで、比較的対処もしやすいでしょう。
しかし、全般型の場合は対応がとりづらく、結果的に病状が悪化してしまうことが多くなります。
うつ病やパニック障害、アルコール依存症などの病気も併発しやすく、治療が長引く傾向にあります。
今回は、社交不安障害について概要的な内容をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
あがり症というと「自分の性格だから仕方ない」とあきらめてしまいがちです。また、「こんなことで緊張してしまうなんて情けない」などと、ついつい自分を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、あがり症は治療によって改善できる病気であり、決してあなたが性格的に弱いわけではありません。あがり症は正しい方法を行えば、必ず改善します。
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