あがり症「場数を踏む」では克服できない3つの理由
「あがり症は場数を踏めば克服できる」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは正しいともいえますし、正しくないとも言えます。
どういうことかと言いますと、場数を踏んで治る人もいれば、治らない人もいるからです。
そして、困ったことに、あがり症の人の場合には、場数を踏んでも治らない人が圧倒的に多いのが現状です。
ではなぜ場数を踏んでもあがり症は治らないのか、以下の3つの理由からご説明していきます。
理由① 「認知」の問題
理由② 「潜在意識」の問題
理由③ 「感情」の問題
場数で克服できない理由① 「認知」の問題
人は場数が足りないからあがるわけではなく、認知(物事の受け止め方や考え方)の偏りによってもあがります。
認知は親子や兄弟姉妹、学校の友達や先生、職場の同僚や上司など、これまでに育ってきた環境や現在置かれている環境等に大きく影響を受けます。
たとえば、小さい頃から「お前はダメな子だ」と親に言われ続けて育ってきたら、自分に自信を持つことができないまま大人になってしまいます。そのような人は、ちょっとした失敗でも必要以上に自己嫌悪に陥り、物事をマイナスに捉えやすくなってしまいます。
認知の偏りによって物事をマイナスに考えるクセがついてしまうと、人前で話す時にも「こんなことを言うとバカにされるんじゃないだろうか」「あがっているのが皆にバレているんじゃないか」などと余計なことばかり考えてしまうようになります。
これでは、緊張するように自分で仕向けているのと同じです。
認知にマイナスの偏りがある人は、考え方のクセを修正しない限り、場数を踏んでも余計にあがり症を悪化させてしまうことになります。
場数で克服できない理由② 「潜在意識」の問題
あがり症の人なら、人前に出ると「心臓がドキドキする」「声や体が震える」「頭の中が真っ白になる」などの経験を少なからずしたことがあると思います。
これらの症状は、当たり前ですが、自分で意識的に起こそうとしている人はいませんよね。
むしろ、意識的に症状を抑えつけようとする人の方が多いと思います。しかし、それにも関わらず、余計にあがりの症状がひどくなってしまった経験をお持ちではないでしょうか。
なぜこういうことが起きるのかというと、今までの失敗体験やトラウマによって、あがる場面になると「反射的に」あがりの反応が出てしまうからです。
これらは「人前であがる」という体験を何度も繰り返し経験し、その積み重ねを脳に深く記憶することで条件づけされた条件反射であり、反応パターンなのです。
意識していないのに、反射的に反応してしまうというのは、「無意識」=「潜在意識」の影響によります。
みなさんは、「パブロフの犬」の話を聞いたことはありますか?有名な話なので、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
「パブロフの犬」とは、生理学者のイワン・パブロフが行なったある実験のことです。
犬にエサを与える時に、同時にベルの音を聞かせます。この一連の行動を何度もくり返すと、エサを与えずにベルを鳴らすだけでも、犬は反射的によだれを垂らすようになりました。
これは、潜在意識の中に、「ベルが鳴る」→「エサがもらえる」→「よだれを垂らす」という反応が条件づけられたために、間の「エサ」を与えなくても、条件反射で「よだれを垂らす」という反応が起こるようになります。
潜在意識の働きによって意識せずに反射的に反応してしまうという現象は、あがり症の症状など、私たちの日常でも頻繁に起きています。
潜在意識は、よく氷山にたとえて説明されます。海面に出ている氷山の一角が私たちの意識できる「顕在意識」で、海面の下にある氷山の大部分が「潜在意識」です。
意識的にコントロールできる「顕在意識」は全体のたった5%、「潜在意識」は残りの95%といわれていますので、意識で潜在意識をコントロールしようと思っても、とても太刀打ちできません。
あがり症の人は、場数を踏んであがってしまった経験を繰り返せば繰り返すほど、潜在意識に「人前であがる」という記憶を深く定着させてしまいます。
そうなると、意識せずにあがりの症状が出やすくなってしまいますし、潜在意識によるものなので、意識的に止めようと思ってもできません。
場数を踏めば踏むほど、潜在意識によるあがりの症状は強固なものになっていきます。
場数で克服できない理由③ 「感情」の問題
3つ目は、「感情」の問題です。
人前で話をした後で、「うまくできた。また人前で話したい!」と感じられる人は、場数を踏むことであがり症が改善していく人です。
逆に、勇気を振り絞って人前で話したのに「またダメだった。もう人前に出たくない!」と感じてしまう人は、場数を踏むことでどんどんあがり症がひどくなります。
両者の違いは、人前で話し終えた後に「快」の感情を感じているか、「不快」の感情を感じているか、という点です。
この「感情の問題」は、前に述べた「認知」と「潜在意識」とも深く関わっています。
人前で話した後に、自己嫌悪や後悔を感じてしまうと、また同じような場面に遭遇した時に、「嫌な思いをするんじゃないか」、「失敗するんじゃないか」、と不安や恐怖の感情が膨らんでいきます。その結果「認知」もどんどんマイナスに偏っていきます。
また、「潜在意識」には「強い感情を伴うと、深く記憶に刻まれる」という性質があります。
あがりの場面が不快な感情とともに強く記憶に残ることで、その時に現れたあがりの症状も強化されていきます。
場数を踏めば踏むほど、不快な感情だけが深くなり、認知や潜在意識にも悪影響を及ぼし、また不快な感情が深くなっていく…という負のスパイラルが永遠に続いていくことになります。
場数を踏んでも治らない人のあがり症克服法
ここまで、3つの理由から場数を踏んでもあがり症は治らないということをご説明してきました。
①「認知」の問題
②「潜在意識」の問題
③「感情」の問題
では、場数を踏んでも治らない人はどうすれば良いかと言うと、①認知と②潜在意識を修正していくことが、あがり症の克服に非常に有効な手段となります。
「認知」と「潜在意識」をプラスに変えることで、「快」の感情が生まれやすくなりますので、そうなって初めて、場数を踏むことがプラスに作用します。
逆に言えば、「認知」と「潜在意識」がマイナスに偏っている状態で、いくら場数を踏んでも意味がないどころか、かえって症状が悪化するため、逆効果になります。
- 人前で話すことが決まってから、本番当日までずっと憂うつや不安になる
- 人前で話した後、自己嫌悪で落ち込む。失敗を何度も思い出しては後悔を繰り返す
上の2つに当てはまる人は、場数を踏んでもあがり症は治りませんので、「認知」と「潜在意識」をプラスに書き換えることが重要です。
認知や潜在意識をプラスに変えるには、人間の体や脳の特性を上手に利用したり、すでに臨床現場で裏付けの取れている心理療法などを使うことで改善していきます。
場数を踏んでも治らない人へおすすめのあがり症克服教材としては、「TNTメソッド」、「精神的な弱さを改善する方法」、「児島弘樹のあがり症改善プログラム」の3つです。
「TNTメソッド」は、人前に出ることなしに場数を踏む経験が積めるので、認知や潜在意識をマイナスに傾けることなく、プラスに書き換えることができます。
「精神的な弱さを改善する方法」は、人間の体や脳の特性をうまく利用した方法で自信をつけ、緊張しない認知や潜在意識を手にいれます。
「児島弘樹のあがり症改善プログラム」では、心理療法と催眠療法(ヒプノセラピー)を組み合わせて、考え方や潜在意識の記憶を強力に書き換えていける方法です。
「場数を踏んでもあがり症が治らない」「それどころか症状が余計ひどくなった」と感じている人は、どれか一つを試してみることで、今までとは違った変化を感じることができるでしょう。
あがり症の体験記事を書いています。
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