対人関係が苦手になる原因とは~脳が不安を生んでいる!?

対人関係が苦手な原因は脳にある

対人関係が苦手な人たちは、人前にでると顔が赤くなったり、声が震えてしまったり、頭の中が真っ白になったりしてしまいます。

これには、我々の脳の働きが関係しているようです。今回は「脳のはたらき」という観点から、対人関係が苦手になる原因を解明していきましょう。

脳の2つの働きが対人関係における不安を引き起こす

私たちの脳は、今この瞬間にも忙しく働いていますが、その働きは大きく分けて2つあります。

1つは「情報を選り分けて受け取る働き」で、もう1つが「受け取った情報に意味を与える働き」です。

この2つの働きが起きる過程において、対人関係が苦手になる原因が潜んでいます。

1.情報を選り分けて受け取る働き

私たちの脳は、日々たくさんの情報にさらされています。

いくら人間の脳が優秀と言っても、それら全ての情報を処理しようとするとさすがに脳はパンクしてしまいます。

脳は必要でないと判断した情報を、意識に上る前に切り捨てることで、膨大な情報の処理を可能にしています。

同じものを見ていても人によって受ける印象が違うのは、各々の脳が独自の基準で情報を選り分けて受け取っているからです。

脳が情報を選びだす基準はとても複雑です。その人の性格や価値観、経験だけでなく、そのときの興味や感情によっても、受け取る情報はさまざまに変化します。

2.受け取った情報に意味を与える働き

脳はまず最初に「情報を選り分けて受け取」ったら、次は「その情報に意味を与える」作業をします。

たとえば、あなたが好意を寄せている女性をデートに誘ったとします。

初デートは、雑誌で紹介されていた人気のレストランに決めました。

ところが、うっかり予約するのを忘れていて、レストランに行ってみると満席で入れませんでした。

ウェイターから「申し訳ございませんが、ただいま満席でございます」という情報を受け取ったあなたの脳は、その情報に意味を与え始めます。

  • 「あぁ、せっかくの初デートが台無しだ」(悲観的な意味づけ)
  • 「しょうがない。彼女とブラブラ歩きながら別の店を探そう(楽天的な意味づけ)
  • 「わざわざ来たんだし、時間がかかってもいいから待たせてもらおう」(積極的な意味づけ)
  • 「このウェイター、高田純次に似てるなぁ…」(全く関係ない意味づけ)

このように、同じ情報を受け取っても、どのような意味を与えるかは、人によって違います。

その時、どんな考え(意味づけ)が頭の中に浮かんでくるかは、「対人関係が苦手かどうか」にも深く関わっています。

対人関係が苦手な人の「ものの見方」は、ネガティブな思いこみが多くなります。

上の例では、「あぁ、せっかくの初デートが台無しだ」と悲観的に考えてしまう人が、最も対人関係が苦手である傾向が強くなります。

「感情」と「考え」どっちが先に生まれる?

ところで、「対人関係が苦手だ」と感じているから、「ネガティブな考え」を抱いてしまうのでしょうか?

実は、心理学の世界では長い間「感情→考え」の順番だと言われていました。

しかし実際は逆で、「ネガティブな考え」を思い浮かべてしまうから、「対人関係が苦手だ」という感情が生まれてくると現在では考えられています。

「感情→考え」ではなく、「考え→感情」の順番です。

ですから、対人関係が苦手という「感情」を変えたい場合には、先に「ネガティブな考え方」を変える必要があるのです。

対人関係が苦手な人の脳が犯しがちな6つの間違い

私たちの脳は確かに優れていますが、完璧ではありません。

先ほどご説明した「2つの脳の働き」を実行している過程で、間違いを犯したり、個人的な傾向やクセのようなものが現れます。

対人関係が苦手な人たちには、「脳の働き方」に独特な共通点を見出せます。ここでは、その共通点を6つご紹介します。

1.情報を偏って選び出す

(まずは、脳の1つ目の機能でお伝えした「情報を選り分けて受け取る働き」に関する特徴です)

私たちは、日々たくさんの情報にさらされているわけですから、自分に都合の良い情報だけを選んで受け取ればいいと思いますよね。

しかし、対人関係が苦手な人たちは、わざわざ自分にとってネガティブな情報ばかりを選び出してしまう傾向があります。

たとえば、仕事の休憩中に数人の人たちで雑談が始まりました。

Aさんは対人関係が苦手なので、なかなか会話に入れずに近くで話を聞いていました。

そんな時、Aさんの好きなサッカーチームの話題になったので、「ここだ!」とばかりに会話に入っていきました。

そして、昨日の試合を自分なりに分析したちょっと興味深い見解を話し始めました。

ところが、Aさんが話し始めてまもなく、他の1人が壁掛け時計にチラッと目をやりました。

その姿を見たとたん、Aさんは「みんなは自分の話をつまらないと感じているようだ…」と考えて自信をなくしてしまい、話を尻切れトンボで終わらせてしまいました。

実際には、他の人たちはAさんの深い洞察に感心して、興味深く聞いていたのですが、その人たちの様子はAさんの目には入ってきませんでした。

ここで重要なのは、時計をチラッと見た人のしぐさ以外、Aさんはすべて無視している点です。

このように、対人関係に不安を感じる人たちは、わざわざ自分にとって都合の悪い、ネガティブな情報を選び取って、自分を苦しめてしまうのです。

2.確かな裏付けもなく判断をしてしまう

(これ以降は、脳の2つ目の機能「受け取った情報に意味を与える働き」に関する特徴です)

ある一つの出来事は、さまざまに解釈が可能です。

判断材料が不足しているのであれば、なおさら解釈は限定しづらくなるはずです。

しかし、対人関係に不安を感じやすい人たちは、本当かどうかもよくわからないのに、勝手な解釈をして、それが正しいと思いこんでしまうことがよくあります。

しかも、その解釈はすべて自分を苦しめてしまうような、ネガティブな解釈なのです。

たとえば、会議でBさんが企画を発表中に、上司が何度も厳しい質問をしてきました。

Bさんは、「きっと〇〇さん(上司)はこの企画に反対なんだ…」と考えてしまい、自信なさげな受け答えを繰り返していました。

しかし、本当にこの情報だけで、上司がBさんの企画に批判的だったと言えるのでしょうか?

「採用に値する企画だ」と直感したからこそ力が入ってしまい、ついつい厳しいツッコミを入れてしまったのかもしれません。

あるいは、Bさんの企画内容とは全く関係のない不愉快な出来事があって、ただ単に不機嫌なだけだったのかもしれません。

しかし、対人関係に不安を感じてしまう人たちは、こういった他の可能性をそもそも考えつくことができません。

そして、確かな裏付けもないのに、自分に不利な解釈をしてしまうのです。

3.良くないことは全て自分の責任だと思いこんでしまう

対人関係が苦手な人は、「悪いことが起きるのはすべて自分の責任だ」と考えてしまう傾向があります。

たとえば、カフェの店員に不愛想な対応をされたら、「きっと私には相手をいらだたせる何かしらの要素があるんだわ…」などと考えて、自分を責め始めます。

実際には、その店員は誰に対しても不愛想だったのですが、対人関係に不安を抱きやすい人は、自分に原因がないことでも「悪いのは全部自分」と思いこんでしまうのです。

4.良いことは軽視して、悪いことは大げさに捉えてしまう

対人関係に不安を感じやすい人は、良いことは「たいしたことがない」、悪いことは「最悪な出来事だ」と捉えてしまう傾向があります。

たとえば、ある男性営業マンCさんが、契約を取ってきたとしましょう。

彼の手柄をみんなで讃えていると、彼はこう言いました。

「たまたま運が良かっただけだよ。僕じゃなくて他の人が担当だったとしても、結果は同じだったと思うよ…」

彼は謙遜ではなく、本心からこう思っていました。

しかしその後、相手の会社の都合で契約は解消されてしまいました。

あくまでも相手の会社の都合なので、Cさんに落ち度はありませんし、相手の会社側も大変申し訳なく感じていました。

そんな状況をCさんはこんな風に言いました。

「やっぱり僕はダメなヤツだな…。最後はいつも最悪の結果が待ってるんだ。きっと僕が相手を怒らせるようなことを何かしてしまったんだろう…。」

このように、良いことは「運が良かっただけ。自分じゃなくてもできる」と考え、悪いことは「自分が悪い。最悪の結果だ」と考えて、自分を苦しめてしまいます。

5.わずかな結果をすべてのように考えてしまう

先に挙げたAさんの例を思い出してください。

Aさんは、雑談していた中のたった一人がチラッと時計に目をやっただけで「みんなは自分の話をつまらないと感じているようだ…」と考えてしまいました。

また、営業マンのCさんは、たった一回契約を解消されてしまっただけで「最後はいつも最悪の結果が待ってるんだ」と思いこんでいます。

対人関係に不安を感じやすい人は、このように「ものごとを極端に一般化」して考えてしまう傾向があります。

たった一人の行動や、たった一回の出来事を「みんなが…」「いつも…」と思いこんでしまうのです。

6.「白か黒か」で考えてしまう

対人関係で不安を感じやすい人は、ものごとを程良い感じにとらえるのが苦手な傾向にあります。

「白黒思考」とか「全か無か思考」などとも呼ばれますが、そういう人たちは「0」と「100」の間の「50」を認めることが難しいのです。

たとえば、ある女性Dさんには10年来の親友がいました。

先日、その親友からある欠点を指摘されたDさんは激怒してしまい、その親友と絶交してしまいました。

いくら親友と言っても、いつも相手のすべてを肯定しているわけではありません。

欠点も含めて認め合うのが親友だと思うのですが、Dさんの言い分はこのようなものでした。

「私のことを全部受け入れてくれないなら、それは私のことを嫌いだということでしょ?」

結局、Dさんは「白」と「黒」の間、つまり「グレーゾーン」を許容することができなかったのです。

以上、対人関係が苦手な人が持っている共通点を6つご紹介してきました。

これら6つの傾向は、多かれ少なかれ一般の人にも当てはまる部分はあると思います。

しかし、対人関係に不安を感じる人の場合に問題なのは、こうした傾向が「より強力」で、「より徹底している」という点です。

あいまいな情報はすべてネガティブに解釈し、ネガティブな状況はすべて大げさに捉えてしまい、しかも、いつでも悪いのは自分だと考えてしまう。

このような脳のクセや傾向に気づいて修正していくことは、あがり症や社交不安障害など、対人関係の不安を根本的に克服するのに非常に役立ちます。

よく、対人関係が苦手な人が「自分に自信がないから、他人に対して気後れしてしまうんです…」と言うのを耳にします。

しかしそれは、ただ単に、その人の脳の働きの傾向が「自分自身を過小評価し、周りの状況をネガティブに過大評価」しているだけに過ぎないとも言えるのです。

あがり症の体験記事を書いています。
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