印象に残る自己紹介とうまい見せ方~落語で学ぶ話し方②

印象に残るネズミの比喩

NHK Eテレの「まる得マガジン」で放送された「落語でつかむ話し方の極意」の内容をお伝えしています。

「上手な自己紹介」を目標に落語家・立川こはるさんのテクニックをご紹介します。

今回は、三席目「印象に残る話し方」と四席目「見え方をコントロールする」について、認知科学的な分析も踏まえてお伝えします。

前回の記事はコチラ

三席目「印象に残る話し方」

印象に残る話し方のポイントは、①話題を整理したり、②表現を工夫することです。この2点を取り入れて、伝えたいことを確実に伝えていきましょう。

まずは、お手本として立川こはるさんの名乗り(落語家の自己紹介)を見てみます。

「落語家っていうのもいろいろありましてね。
 修行という、まず前座修行がございますがね、
 これもただ稽古だけしてればいいってもんじゃないんですね。

 師匠の家に行って、まぁいわゆる家事をしたり、
 カバン持ちをしたり、使いっ走りに行こうという、
 まぁこういった雑務がございます。

 それに、楽屋へ行きましてね、お掃除をしたり、
 あるいはお茶をお出ししたり、着物の着付けを
 お手伝いしたりという…。

 そればかりじゃない。
 舞台でもって座布団をひっくり返したり、
 出囃子の太鼓を打ったり、メクリを返したりと、
 まぁまるでネズミのようにウロウロと働いて
 修行するという、これが前座でございますが…。

 これを私は6年半いたしまして、今はちょうど二つ目。
 トータルキャリア11年目でございますんで、
 どうぞひとつよろしくお願いいたします。」

上の名乗りの中に、認知科学的な工夫が2つあります。あなたは気づいたでしょうか?

1.比喩を使う

「まるでネズミのようにウロウロと働いて」という表現がありましたね。
比喩はイメージが伝わりやすいため、聞き手の印象に残りやすいのです。

2.グループ化して情報を整理する

名乗りの中で、雑務や舞台上の仕事、楽屋の仕事など、情報がたくさん入っていましたが、イメージしやすく、すんなり頭に入ってきたと思います。

その理由は、情報をグループ化して、わかりやすく整理されていたからです。

印象に残るグループ化①(前座の仕事)

情報のまとまりのことを、認知科学では「チャンク」と呼びます。

人が情報を覚えられるのは、6~7個と言われていますが、チャンクを作るとそれ以上のことが覚えられます。

比喩とチャンクを使った自己紹介に挑戦

出演者の三倉茉奈さんが、比喩とチャンクを使った自己紹介に挑戦してみました。

彼女は「季節を感じることが好き」というテーマで、以下のように情報を整理しました。

印象に残るグループ化②(季節を感じる)

整理された情報をもとに行なわれた自己紹介は以下のようになりました。

「三倉茉奈と申します。
 私はカレンダーをめくるように
 季節・四季を感じるのが好きです。

 たとえば、節分・お花見・盆踊りのような
 季節の行事に参加したり、

 今の春の季節だと
 新じゃが・たけのこ・春キャベツのような
 旬の食材を使って料理をしたり食べたり、

 あとは、桜・ひまわり・いちょうなど
 季節のものの写真を撮るのも好きです。
 一緒に四季を感じませんか?」

それぞれチャンクを使って情報が整理されているので、とても内容がわかりやすい自己紹介でしたね。

あなたも、比喩とチャンクを使って、聞き手の印象に残る話を作ってみましょう。

四席目「見え方をコントロールする」

話の内容だけでなく、相手から自分がどう見られているかを意識することはとても大切です。

どんなに上手く話しても、見た目で悪い印象を与えてしまってはもったいないですよね。

視線や体の動きは、自分の印象を左右する重要な情報です。

うまく活用して、聞き手に良い印象を与えるようにしましょう。

立川こはるさんが高座で話している時の様子を見ると、見え方を良くする3つのポイントがわかりました。

1.視線を上げて会場全体を見渡しながら話している

視線を下げて、伏し目がちに話していたのでは、自信がないように見えたり、暗い印象を与えてしまったりします。

視線を上げて、聞き手全体を見渡しながら話すようにしましょう。

「相手と目が合うと緊張してしまう」という人もいると思いますが、ずっと一人の相手を見ている必要はありません。

人が視界に入ったら、すぐに視線を別の人に移していくと、緊張は最小限に抑えられます。

2.笑顔で話す

笑顔で話していると、聞き手も安心できますので、話を聞いてもらえやすくなります。

こはるさんも、「敵意はないですよ」という意思表示の意味も込めて、笑顔で話すようにしていると言っていました。

緊張して笑顔がひきつってしまうと逆効果

口角を上げるだけですと、どうしても「作り笑い」に見えてしまいます。

自然な笑顔に見せるためには、頬の筋肉を意識すると、笑っている印象を強く与えることができます。

割りばしを使って笑顔のトレーニングをすると、自然な笑顔が作れるようになります。

割りばしを使った笑顔のトレーニング方法
  1. 割りばしの両端を持ち、奥歯でくわえる
  2. 口角をキュッと上げて、そのまま30秒間キープする

※頬に意識を集中するのがポイント

繰り返し練習すると、自然な笑顔ができた時の筋肉の動きを覚えて「あ、この感じだ!」という感覚がわかるようになります。

笑顔の形だけ覚えてもウソっぽく見えるのでは?

笑顔の形だけ覚えても、「楽しい」という感情がなければ、本当の笑顔に見えないのでは?と心配する人もいるかもしれません。

認知科学には「顔面フィードバック」という法則があります。

これは実験によって実証されているのですが、「表情を操作すると、感情も変化する」という法則です。

笑顔になる時の筋肉を使うと、不思議なことに話し手の感情も、実際に楽しくなってきます。

相手に安心感を与え、自分も楽しく人前で話せるように、自然な笑顔を練習しましょう。

3.ゆっくりとおじぎする

落語家さんは高座に上がると、お客様に対してゆっくりとおじぎをします。

ゆっくりおじぎをすると、見ている人に「落ち着いている」「ていねいな人」という良い印象を与えます。

それだけでなく、「聞き手の意識を集中させる」とう効果も得られます。

以上、相手に良い印象を与えるポイントを3つご紹介しました。

自分がどのように見えているのかを客観的に想像してみて、聞き手が安心して耳を傾けられるような雰囲気を作り出したいものですね。

今回は、「印象に残る話し方」と「見え方をコントロールする」についてご紹介しました。

取り入れられるところはどんどん取り入れて、自己紹介、プレゼン、スピーチなどに生かしてみましょう。

次回は「失敗談で笑いを取る」と「会話口調でドラマにする」についてご紹介します。

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