知らず知らず相手を傷つける言葉とは
中学生の時に通っていた塾での話です。
数学の授業の時、男性講師が生徒たちのウケを狙うために、一人の生徒をからかっていました。
からかわれていた生徒はガタイは大きいのですが、少し気が弱そうなタイプでした。
男性講師はその生徒に対して「デカオ」とあだ名をつけ、その生徒を指すたびに「デカオ、デカオ」と面白がって呼んでいました。
顔が大きいから「デカオ」。そのままのあだ名なのですが、数学講師が「デカオ」と言うたびに生徒たちも面白がって笑っていました。
「デカオ」と呼ばれていた生徒も、少しはにかんだ様子をしていたぐらいで、それ程気にしている印象は受けませんでした。
本当は泣きたいほど傷ついていた
数学の授業が終わり、休憩時間に私はトイレに行きました。
トイレから出てくると、廊下の隅の方で「デカオ」と呼ばれていた生徒が後ろを向いて立っていました。
私は「何をしているんだろう?」と思い、横を通り過ぎる時に彼の様子をチラッとうかがいました。
すると、腕で目のあたりを抑えながら、鼻をすすり上げる音が聞こえてきました。
おそらく彼は泣いていたのでしょう。
特に親しい間柄というわけではなかったので、私はそのまま何も言わずに通り過ぎてしまいました。
私はデカオと呼ばれていた生徒に対して、体が大きいのであまり小さなことを気にしない性格なのだろうと思っていました。
おそらく数学講師や他の生徒たちも同じ印象を持っていたと思います。
だからこそ、先生も軽い気持ちで彼をからかいの対象にしたのかもしれません。
しかし、廊下の隅で肩を震わせながら涙を抑えることができなかった彼は、毎回「デカオ、デカオ」と言われることに相当傷ついていたのでしょう。
コミュニケーションで言ってはいけない言葉
「からかう」という行為は、コミュニケーションにおいて人との距離を縮めるのに有効なテクニックの一つではあります。
しかし、身体的な要素をからかいの対象にすることはNGです。
顔の大きさや身長、体重などの身体的な要素は、他の人から見て全く気にならなかったとしても、本人はコンプレックスに感じていることが多いものです。
軽い気持ちでその地雷を踏んでしまうと、一生癒えない傷を持つ可能性すらありますので、身体的な要素をからかうのはやめておいた方が良いでしょう。
先ほどの数学講師は、ただ単に生徒たちのウケを狙いたかっただけなのかもしれませんが、「デカオ」と呼ばれた生徒は、どうしようもない悔しさや悲しさを感じていたはずです。
お笑い芸人のように「太っている」「背が小さい」「顔が大きい」などの身体的コンプレックスを乗り越え、逆に笑いの武器にしている人たちに対してであれば、からかっても良いとは思います。
しかし、コンプレックスを「笑い」に変えるほどの覚悟は、普通の人にはできていないでしょう。
他人とコミュニケーションする上で、相手の身体的特徴に触れる時には十分に気を付けたいと思います。
あがり症の体験記事を書いています。
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